『王家に捧ぐ歌』について”好きな点”と”好きではない点”を振り返る

『王家に捧ぐ歌』について”好きな点”と”好きではない点”を振り返る

今回の『王家に捧ぐ歌』ですが、
初回に観たときは、正直「衣装・・・・!」ってことしか頭になかったけど、
観劇から時間が経っても、いろんなシーンが頭をよぎって離れない日々を過ごしています。

ツッコミどころは満載だし、話としてすごく好きかは置いておいて、なんだかんだ『王家に捧ぐ歌』はいい作品なんだろうと思います。

この作品の何が好きなのか、何が好きではないのか、今回は『王家に捧ぐ歌」について考えてみました。

王家に捧ぐ歌の好きな点

なんだかんだ定期的に見返したくなるこの作品。
再演されると決まれば、配役予想したくなるし楽しみになるのは間違いない作品。

話がわかりやすい

シンプルにこれは大きいですね。
原作がある話なので大筋のドラマがわかるのもあるし、(話は違うけど)
主要キャラの役割がはっきりしていることも見やすい。
もし宝塚やこの演目が初見の方であっても、物語についていけなくなることはなさそうと思います。
セリフや歌詞も直接的なので深読みや解釈を必要としないし、ツッコミどころはあるけど、ついていけないストレスはない。

『エリザベート』みたいな見ればみるほど発見がある作品も面白いし大好きだし、
ウエクミ先生のような伏線を散りばめて回収していく作品も大好きなんで、
作品としてはそういう作品のほうが好きなんですけどね。

音楽がいい

見返したくなる最大の理由はここだなと思います。
まず頭に残る歌が多くて、観劇後はふと口ずさんじゃいます。
上にも書いてありますが、直接的な歌詞が多いので一回ですっと入ってくるのもあります。
2人以上で歌う掛け合いの歌は秀逸で、感情がちゃんと歌に乗っている歌詞での掛け合いはドキドキしながら引き込まれます。

・ナイルの流れのように
物語の初っぱなからかなりドキドキするナンバー。
まずラダメスの歌い出しの歌詞が好き。
そのあともみんなの心の声が歌詞になっていて、感情がかき乱され、ぐっと心を掴まれるシーン。
あー。書いていたらもう一回見たくなる。

・アムネリスの詰問?
今回の星組公演はここが大発見だった!!
アムネリスとラダメスの歌、こんなだった??
歌うまどうしで歌うとこんな心地良いとは。

・三度の銅鑼
掛け合いの歌でいうと最高にドキドキする曲だと思う。
三度の銅鑼が鳴るというタイムリミットまで、それぞれがそれぞれの思いを抱えて迎える時間。
この短い時間の迫り来る感じと期待と不安の入り混じる時間の表現が見事すぎて、、、
大大大好きなシーンです。

もちろん他の歌もよくて、

・月の満ちる頃
美しく、唯一幸せを感じられるナンバー。
ラダメスの優しく歌う感じと、あのアイーダが理性や感情を爆発させてラダメスに駆け寄っていく感じが好き。
2人が幸せに旅をしているような、美しい情景が目に浮かぶような曲です。

・世界に求む
希望を持つ歌。ラダメスが描く理想の世界を心から願った歌。
今回琴ちゃんの歌声で聴けて本当に素晴らしかった!(衣装が邪魔したとか言わないようにしたい)
1幕の最後にあの歌で締めくくるのは、希望ももてるし2幕への期待感も残せるし大正解ですね。

・アイーダの信念
元々とうこさん(安蘭けい)の歌で聞いていたのもあって、大好きな曲。
この物語の大事なナンバーだし、歌い継がれていく名曲だと思う。

・ファラオの娘
迫力があって好きな曲!
檀れいさんのも王女感があってパワフルで大好きだったし、
今回のくらっちの歌声は正解を聴けた気がしてめちゃくちゃ楽しかった。
思うけど、アムネリス様の歌って難しいよね?

・スゴツヨの破壊力(ネタ的に)
みんなだいすきスゴツヨ!
でもだんだん可愛らしくなっている感じがするのは気のせいか?
初演のほうが振付もふくめてすごかった気がしています。
あと初演は「美人選び」もぶっとんでますよね。

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個人的に好きではない点

改めて考えてみると、好きなところは歌やそれぞれのシーンといったところが大きいと思います。
反面、好きではない点を考えてみるとやはりストーリー全体で見たときの違和感があることですね。
エピソードについていけないことはないのですが、
それぞれのキャラクターの行動や感情の変化についていけないことは多々あります。

メッセージが直接すぎる

話がわかりやすいのはいいのですが、セリフも歌詞も直接すぎてあれ?って思うところも多いです。
スゴツヨとかはもはやネタとして愛されているけど、冷静に考えるとすごい歌詞w

メッセージももちろん直接的で、
「戦いが戦いを生むだけ」がメインメッセージで、アイーダの信念だと思うのですが、
言ってることはもちろんわかる!正しい考えだと思う。
でも、あの時代に王女として生きているアイーダにしては合理的すぎないか?
周りとあまりにも熱量が違いすぎて、アイーダが浮いているような違和感を感じます。
そんなメッセージばかり唱えてたら、周りのエチオピア人から総ツッコミされるのも当たり前だよなぁと。

キャラがアホに見える

キャラ全体、短絡的でアホ感があるように見えるのは私だけでしょうか。
脳筋エジプト人のところはまぁそういうものだとして、、、主要キャストも結構ポンコツじゃないですか?
ラダメスは将軍になることを望んでいたけど、戦って一度勝利して「解放」を成し遂げてからは、戦いや将軍に対してどいういう気持ちの変化があったのかあまりわからない。
アムネリス様の心は全くわかっていないように見えるし、いざアイーダに国を捨てようと言われたら、即断するし、
何を大事にしているのかわからなくなる。最終的に単に愛なの?
これもある意味アイーダの合理性と近いものがあって、ストーリーに収まるように考えを変えているようで、短絡的な思考に見えてしまうのが、個人的には「?」なところです。
エジプト王家の大事な秘密をアイーダに打ち明けるのも、なんか詳細まで語る必要なくない?って思うし。

そして私の中の最大のツッコミは、結局アイーダが戦いを起こしていること。
「縁を切る」ことを理由に秘密を伝えますが、そんなん絶対戦い起こるじゃん?自分が逃げれたら信念はどうでもいいの?
その後滅びたエチオピアを前に、アイーダは最後アモナスロに詰め寄っているけど、戦争起こした(元を作った)のってアイーダじゃないっけって思ってしまいます。
このへんの主要キャラの行動はしっくりこず、思考停止してみています。

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今回はツッコミどころが1つ増えました

言わなくてもわかると思います。「衣装」ですw
ちゃんとパンフレットに書かれている先生のお言葉も読みましたよ。
でも納得・・・しきれないよね。
やっぱりどうしても田舎のヤンキーに見えてしまうよ。
フィナーレめっちゃ楽しくて、かっこいい!って思った最後に
琴ちゃんがラダメスになってでてきて、現実に引き戻される・・・・。
やっぱりどうしても田舎のヤンキーが、大事な場面に一張羅を着てきたみたいに思えてしまうよ。(成人式あたり)
あれは一種の演出だと思うことにしよう(違う)
もし再演される事があったら、できれば元の衣装に戻して欲しいです。

最後に

書けば書くほど、作品を振り返れば振り返るほどまた見たくなるような不思議な作品ですね。
いろいろ書きましたが、今回の星組公演はパワフルで、出演者の歌も演技もとてもよかったです。
またいつか再演される作品だと思うので、楽しみにしていようと思います。

 

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